
ミシン刺繍を通じて〝想いを紡ぐ〟
ミシン刺繍プロデューサー・ラブキモノ刺繍の鈴木ひろ美です。
ミシン刺繍とは簡単に説明すると、刺繍ができるミシンに刺繍データを読み込ませて、ミシンが自動でデータ通りに刺繍してくれる、というものです。
私はその元となる刺しゅうデータを制作して、オンラインで販売しています。
また、これからミシン刺繍を始めたい方や、もっともっと楽しみたい方と、ミシン刺繍のアイディアを一緒に紡いでいくために、講座やYouTubeでサポートしています。
お客様は刺しゅう屋さん、ハンドメイド作家さん、趣味でミシン刺しゅうを楽しむ方などです。
私はこれからの人生をかけて、ミシン刺しゅうを通して伝えたい世界があります。
それは、「一人一人の心の中にある、本当の想いが紡がれていく世界」です。
私が子供のころ、父と母は夫婦喧嘩がとても多かったです。
お母さんは離婚後にストレスで鬱になって、難病も発症してと、とても苦労した人生で51歳で亡くなりました。
今その母親を振り返って思うのは、お母さんは胸の内の〝本当の想い〟を出せなかったのかもしれない。
だけど心の中では、お父さんともっと仲良くしたい、お父さんのことを大切にしたいっていう、〝あったかい想い〟があったと思うんです。
だけど夫婦ケンカで、売り言葉に買い言葉が重なってしまって、いつのまにか本心である〝お互いを想い合う糸〟がぐちゃぐちゃにからまってしまった。
お父さんとお母さんはそのからまった糸を、二人ではほどくことが出来きなくて、離婚という糸そのものを断ち切ってしまった。

同じように、「自分の本当の想い」が伝わらないな… って悩んでいる人は多いと思います。
みんなそれぞれ自分の胸の内側に、伝えたい想いがあるはずなのに…。
「あぁ、なんかぜんぜん伝わらないな…」って思って、諦めてしまう。
私の両親のように〝本当の想い〟がちゃんと伝わらなくて、糸が絡まるように関係がこじれていく。
もしくは糸が絡まるのが面倒で、そもそも他人と距離をおいてしまったり、伝えることをあきらめてしまったり。
世の中には口下手な人がいたり、自分の胸の内を言葉にだして語るのが苦手な人もいます。
私も、そのうちの一人かもしれません。
言葉で「自分の本当の想い」が伝えられなくて、糸が少し絡まると諦めていろんな人とのご縁の糸を、切ってしまうような行動をたくさんしてきました。
伝わらないんだから「しょうがない」と、諦めるのが習慣になっていました。
でもやっぱりそれって、さみしかったです。
〝自分の本当の想い〟を伝えないままちょっと糸が絡まったら、すぐにチョキンってはさみで切っちゃう人生。
私の人生ずっとそんなだったら、嫌だなって心の中では思っていました。
自分の〝本当の想い〟を言葉で伝えるって、難しいです。
言葉の力ってすごいんだけど、口下手な私やお母さんは上手にそれを人に伝えられませんでした。
そんなとき、気づいたんです。
そもそも自分の〝本当の想い〟を伝える手段は、言葉だけじゃない。
モノを通して、伝えることもできるって。
それが私にとっては、ミシン刺繍でした。

ミシン刺繍っていうのは刺繍データを使うことで、クオリティの高い刺繍が簡単にできます。
また刺繍ソフトを使って、自分でオリジナルの刺繍データを作ることだってできます。
だから、自分の想いを自由に表現することができる。
そういった道具なんです。
刺繍することで、大切な人への想いも一緒に紡いでいける。
そしてそれを手渡すことができる。
中々、直接は想いを伝えられないって人も、物を通して〝自分の想い〟を手渡すことができるんです。
お客様から教えてもらった話を、2つ紹介させてください。
蝶々の刺繍データを購入してくれた方は、息子さんの結婚式があったそうです。
その準備のために、お嫁さんになる方といろいろと相談しながら、蝶々の刺繍をいれたウエディングベール作ったそうです。
結婚するまえから、嫁姑の共同作業!
ミシン刺繍で紡がれていく、家族愛です。
お姑さんにとって自分が作ってあげたウエディンベールを、一世一代の晴れ舞台、息子さんの結婚式で使われるなんて、どれだけ嬉しいことでしょう。
ベールをかけたお嫁さんと息子さんがバージンロードを歩く姿は、感無量だったと思います。
ミシン刺繍をやっていて本当に良かったです! とメッセージをいただき私もすごく感動しました!
息子さんとお嫁さんは、お母さんからの〝いっぱいの愛〟を、このベールを通して受け取られたと思います。
そして二人目の方は娘さんの出産が、コロナのために家族の立ち合いが制限されて、お一人で分娩することになったそうです。
一人で出産に挑む娘さんのために、お母様は刺繍を施した「お守り」をミシン刺繍で作って手渡しました。
すると娘さんがとても喜んでくれて、そのお守りと一緒に分娩されたそうです。
無事に元気な赤ちゃんも生まれました。
娘さんにとっては一言も話さなくても、ずっと家族が見守ってくれているって、心強かったはずです。
ミシン刺繍をとおして、家族のあったかい想いが紡がれていくのです。
受け入れられている、見守ってくれているって想いが伝わることで、そのモノを手渡すほうも、受け取る方も、みんながあったかい気持ちになる。

だから多くの人が、相手を想う気持ち、自分の心の中にある、〝本当の想い〟を伝えられる世界になったら、幸せの糸がどんどん紡がれていく世の中になると思うんです。
その手段の一つが、ミシン刺しゅうなんです。
今はミシン刺繍を使って、仕事をすることもできるんです。
ミシン刺繍を通して、自分の想いをいろんな人に伝えていくことで、それが仕事になる。
プロが作るような刺繍もできて、たくさんの人に喜んでもらえます。
ミシン刺繍は何百種類の物へ加工もできる、夢のある世界なんです!
だから、ミシン刺繍をキッカケにしてほしい。
これをきっかけにして、いろんな人の想いを紡いでいってほしいです。
想像してみてください。
一人一人の光る個性が紡がれていって、みんなが自分の中にある、本当のあったかい想いを伝えることができる世界。
今は自分だけの1本の糸だから、モノクロで少し味わいのかける世界かもしれない。
だけど日本中、世界中で、みんなの想いが紡がれていくことで、カラフルな糸が重なりあって、うっとりするような模様を織りなしていく。
より複雑であじわい深い、みたことのない世界。
もちろん、時には糸がからまったりもするかもだけど、本当の想いを伝える手段をもっている私たちの糸は、ほどけてまた紡がれていきます。
後で見返したら、私たちいいもの作ったなって思える世界。
言葉以上に伝えることができる〝想い〟を分かち合える世界。
皆で〝あったかい想いが紡がれていく世界〟一緒に作りましょう。





